女王陛下から謁見の許可をもらえたのは、次の日だった。
朝早くしか時間がないと言われたので、急いで謁見室へ。
リンは謁見室の前で待っている。
「おはようございます。」
女王陛下はかなり疲れた様子で、少しやつれた様にも見える。
きっと会議で大変だったんだろうな。
この国始まって以来のピンチ?

「遅くなってごめんなさいね。用だと聞きましたが。」
「あっ、はい。また騎士を妖魔の討伐に送るのですか?」
「ええ。今日にも出発しますよ。」
「私も連れて行ってもらえませんか?」
上目づかいで女王陛下を見ると、驚いているというより、呆れている様子だった。
「沙羅、わかっていると思いますが、危険なんですよ?」
「はい。」
「この前の旅よりも危険なんですよ?」
「私なら騎士たちの治癒もできます。」
「しかしですね・・・・・。」
「お願いします。」
頭を下げた。
「だめです。話がそのことなら、部屋に戻りなさい。」
「どうしてもだめですか?」
「だめです。」
うぅ〜。
今回は女王陛下厳しいな。
絶対許可してくれると思ったのに。

しぶしぶ帰ろうとしたら、レオナーさんが入ってきた。
「私は彼女を連れていくのは、賛成です。」
今来たのに、話を聞いてたんだ。
「何を言い出すのです、レオナー。」
女王陛下がギョッとして、レオナーさんを見ている。
「彼女は精霊王と契約しています。今回の妖魔も精霊王の力を借りれば、容易く収まるはずです。」
「しかし、この件にヴァレリーがからんでいないとも限らないのですよ。」
「彼女は精霊王の半身です。我らよりよほど安全です。」
「そうかもしれませんが、女の子を妖魔の群れに連れていくなんて・・・・。」
「彼女が望んだことです。」

私は2人のやり取りを、黙ってみていることにした。
ひそかにレオナーさんを応援する。
女王陛下の気持ちはありがたいと思うんだけどね。
「どのみち次に討伐に失敗すれば、我らに勝機はないでしょう。そうなればここも安全ではありません。早いうちに何とかするべきです。陛下は、今回の討伐で本当にこのまま勝てると思っておられますか?」
「それは・・・・。」
「彼女に行ってもらうことは、最善の策です。さすがに彼女がのぞまなければ、無理やり連れていくことはできないので、会議では言いませんでしたが。」
段々女王陛下がレオナーさんに押されてきた。
「わかりました。沙羅は行きたいのですね?」
女王陛下が私に向き直ったので、私は頷く。
「行きたいです。」
「では、カイエンには私から伝えておきます。昼までに準備をしなさい。」
「ありがとうございます。」
女王陛下とレオナーさんにお辞儀をして、謁見室を出た。



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これで行ける。
あとはリンとアレンか。
リンはついてきてくれるだろうけど、アレンだよね。
アレンの事はリオに頼む方がいいかな?
私たちがいなくなったら、アレンのこと頼めるのはリオしかいないよね。
でもリオに会いに行ったら、またついてくるとか言われたら困る。
どうしよう?
「私も討伐隊に加えてもらうことになったから、リンはどうする?」
「沙羅様が行かれるなら、私も行きます。」
リンは躊躇うことなく、即答してくれた。
本当にリンには申し訳ないな。
こんなによくしてもらって、何のお返しもできてないよ。
「アレンどうしようか?」
「連れて行きましょう。」
えっ!?連れていくの?
妖魔ってバレちゃうよ。
「いいの?」
「連れていけば役には立つでしょう。戦力は多いにこしたことはありません。連れて行きたくないんですか?」
「そうじゃないけど、妖魔ってばれたらまずいでしょ?」
「仕方ないです。どのみちこのままではいられないと思いますよ。」
それはそうなんだけどね。
「うん。」
確かにこのままではいられないね。
侍女さん達にはかわいがられてるし、みんなに無害ってわかってもらえてるから、安全な妖魔もいるってわかってもらう機会かもね。
よし、連れて行こう。
「昼までに準備をしないといけないから、リンも準備してきてね。」
「わかりました。」


昼前にリンは騎士の格好をして、アレンを連れて私の部屋にきた。
女王陛下の伝言で、昼過ぎにカイエン様が部屋まで迎えに来てくれることになっている。
「アレンごめんね。」
「ひさびさに暴れられそうで、楽しみだ。」
アレンは上機嫌。
もしかして退屈してたのかな?
「今回も2人ともよろしくね。」
「はい、お任せ下さい。」
「オイラに任しとけ。」
2人が同時に答えた。
2人とも頼りにしてるよ。


しばくらしてカイエン様が呼びに来てくれた。
「本当にいいんですか?」
カイエン様は、複雑な顔をしていた。
「はい。足手まといにならないように頑張りますね。」
「危険ですよ。先日の討伐は失敗して、ほぼ全滅したのはご存知ですよね?」
カイエン様も私を引きとめたいのかな?
足手まといなのは、確かだしね。
でも引き下がらないよ。
行くって決めたから。
「はい、知ってます。でも私で役に立てるなら・・・。」
「わかりました。できる限り、沙羅様は私が守ります。」
カイエン様はちょっと呆れきみ。
呆れられたっていいよ。
頑張るから。
「よろしくお願いします。」

そして私たちは妖魔の討伐隊に合流した。













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