ザクセンさんとケーキ屋さんに行った時の、リンのお土産にリンはとても喜んでくれた。
リンも行きたかったみたいなので、今度はリンも一緒に行けるといいなぁ。
ザクセンさんならいいって言ってくれそうだけど、さすがに毎回奢ってもらうのは気がひける。
どこかでお金を稼がないとやばいなぁ。


今日はマリーたちに頼まれて、また厨房を借りてクッキーを作る。
厨房の料理長は最初、嫌な顔をしてたけど、こないだ焼いたクッキーをお裾分けすると、喜んで使わせてくれるようになった。
今日はどんなクッキーにしようかな。
材料はいいものが揃っていそうだから、作りがいがある。
小麦粉、砂糖、ベーキングパウダー、順番に計量して器に入れる。
厨房のコックさん達もこっちをチラチラ見て気にしているみたい。
あっ、今日はクッキーをやめてパウンドケーキでも焼いてみようかな。
よく漬かっていそうなドライフルーツもあるし。
材料はそんなにかわらないから、すぐ修正できる。
こっちの方が簡単でいいや。
ちょうど良さそうな型をこの前厚紙で作っておいたの。
ボールに材料を入れて混ぜ混ぜ。
最後に小麦粉を入れてさっくりと混ぜて、生地を型に流し込む。
温めたオーブンに入れて、焼き上がるまでしばらくお片づけ。
片づけはリンも手伝ってくれる。



「今日は何ができるんですか?」
いい匂いがあたりに漂ってくると、料理長がやってきた。
「今日はパウンドケーキです。」
「パウンドケーキ?」
知らないよね。
この前のケーキ屋さんにもなかったし。
「焼けたらお裾分けしますね。楽しみにしててください。」
「わかりました。できたら教えてくださいね。」
ニコニコしながら料理長が厨房の奥に行った。
やっぱりコックさん達もお菓子に興味あるのかな?
作り方さえわければ、そのうち作ってくれるかも。
「楽しみですね。」
リンもニコニコしている。

しっかり膨らんで焼き目をついているので、いったん竹串で焼け具合をチェック。
ここにはタイマーのついたオーブンがないから、ちょっと不便。
刺した竹串に生地がついてこなかったから、焼けたみたい。
ちょっと冷ましておこう。
オーブンから出して、パウンドケーキをお皿に並べる。
今日は10本ほど作った。
さすがに作りすぎたかな?
昨日のお礼にザクセンさんにプレゼントするつもり。

あら熱をとってから、侍女さんたちと食べる分と、コックさんたちにお裾分け分の7本を、食べやすいように切り分ける。
「置いておくので、味見して下さいね。」
私が言った途端、先を争うように10人ほどのコックさんと、料理長がお皿に群がって、食べ始める。
侍女さんと食べる分は、別の皿に並べて、リンが皿を持っている。
あっという間にコックさんたちの分がなくなり、ほしそうにリンの皿を見たので、リンが後ずさった。

「どうでしたか?」
「うん。この前のクッキーとはまた違って、美味しいな。」
侍女さんたちも喜んでくれそうだ。
「また作りたくなったら、貸して下さいね。」
「いつでもこいよ〜」
私とリンは侍女さんたちと食べる分と、ザクセンさんにプレゼント用にラッピングした1本と、騎士の人たちにお裾分け用1本を持って、厨房を後にした。



部屋に戻ると、さっそくマリーがお茶の用意をして、数人の侍女さんを呼んできた。
私たちは応接間で、みんなで座って食べた。
最初侍女さんたちは、一緒に食べることを遠慮したけど、私がお願いして、一緒に食べている。
みんなで食べる方がおいしいよね。
今日のパウンドケーキは、ドライフルーツがいい味だしてて、おいしくできた。
ドライフルーツは、ここに帰ってきてから、食べたくなってお酒に漬けて置いた。
この世界にはいろんなフルーツがあるから、試しにいろいろなフルーツを使ってみたけど、失敗はしていない。

「おいしいです。」
リンがすでに3切れ目を食べ始めた。
マリーも、他の侍女さんたちも、ハイペースで食べたので、こちらもあっという間に完食。
私は1切れしか食べられなかったけど、まだドライフルーツも残ってるし、いつでも作れるからいいか。
「今日のも美味しかったです。また作って下さいね。」
マリーが言うと、他の侍女さんたちも頷いた。
「また今度作るね。」
次はまた違うの作りたいな〜









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